ドンチャンチャネルとは?20日高値を上抜けたら追いかけるべき?

「終値が20日ぶりの高値を更新した。ブレイクアウトだ、追いかけるべき?」

ドンチャンチャネルは、この言葉をそのまま線にしたものです。上のバンドは直近20本の最高値、下のバンドは直近20本の最安値です。価格が上のバンドを上抜けたら、20本ぶりの高値を更新したということです。トレンドでは大きな値幅をとらえられますが、レンジではダマシのブレイクアウトを繰り返します。この記事ではまず1つの表で一度計算し、次に 1〜4 の番号を付けた実際のチャート(S&P500指数、2025〜2026年)で、2つの状況を同じチャートの上で見ます。

この記事は MASQuant の「トレーディングアカデミー・テクニカル指標大全」シリーズの1本です。すべての指標の分類はテクニカル指標大全にまとめています。

ひと言でいうと

ドンチャンチャネル=直近N本の「最高値」と「最安値」を結んだチャネル。

答えてくれる問いは「今の価格は、直近N本の範囲から抜け出したか?」です。

ドンチャンチャネルは、走り高跳びの記録ラインのようなものです。上のバンドは直近20試合の最高記録、下のバンドは最低記録です。今日その記録ラインを越えれば記録更新です。ただし記録は直近20試合分しか見ないので、古い記録が期限切れになるとラインは下がります。だからチャネルが動くのは「高値更新・安値更新」か「古い記録の期限切れ」のときだけで、ふだんは階段状の平らな線です。

まず計算してみる:ブレイクアウトは前日のチャネルと比べる

計算しやすいように、5本のチャネルを使います(以下は説明用の整数であり、相場データではありません)。

何本目 高値/終値 その足の上バンド(自分を含む) 1本前の上バンド
5本目 12/11.5 13 —
6本目 15/13.5 15 13

最初の5本の高値は10、12、11、13、12なので、上のバンドは13です。6本目は15まで上がり、13.5で引けました。「今日の上バンド」と比べると、上バンドにはすでに今日の15が含まれているので、終値がそれを上回ることは絶対にありません。だからブレイクアウトは必ず「前日の上バンド」と比べます。前日は13で、今日の終値は13.5なのでブレイクアウト成立。終値が12.5だけなら、まだブレイクアウトではありません。チャートを見ていてよくある錯覚は、今日の足自身が押し上げたチャネルを、まだ抜けていないチャネルだと思ってしまうことです。

正式な計算式

よく使われるパラメーターは20です。

1 上バンド = 直近20本の最高値
2 下バンド = 直近20本の最安値
3 中心線 =(上バンド + 下バンド)÷ 2

ブレイクアウトで買い:今日の終値 > 前日の上バンド
下抜けで決済:今日の終値 < 前日の10本最安値(タートル流の決済方法の1つ)

ドンチャンチャネルは、トレンドフォローの先駆者と呼ばれる Richard Donchian の名前にちなんでいます。1980年代に有名になった「タートル流」の売買法がこれを使っていました。20日高値の更新でエントリーし、10日安値の更新で決済します(55日と20日を使う別のバージョンもあります)。

MT5をインストールしたときに付いてくる指標の中に、2つあります。Free Indicators フォルダーの Donchian Channel(初期設定20)と、Examples フォルダーの Price Channel(初期設定22)です。MT5の Donchian Channel は当日の足も含めて計算するので、ブレイクアウトを判断するときは1本前の上バンドと比べます。

チャートで見る:S&P500 2025〜2026年、1〜4 の順に

下のチャートは、S&P500指数(US500)の2025年11月末から2026年6月までの日足で、MT5の過去の価格データから取ったものです。レンジ、上昇、高値圏での保ち合いの順に進みました。2025年11月28日から2026年3月27日までは、終値が一定の範囲(6,355〜6,987)にあり、最後はレンジの下限まで下がりました。3月30日から5月21日にかけては17.5%上昇しました(6,339→7,447)。オレンジの実線が20本の上下のバンド、金色の破線が中心線、紫の破線が10本最安値(決済ライン)です。

S&P500指数の2025年11月から2026年6月までの日足と20本のドンチャンチャネル。レンジでは4回のブレイクアウトがすべて10本以内に中心線まで押し戻され、上昇でのブレイクアウトは7.6%上がった後に現れ、最後は10本最安値を割って決済
図:S&P500指数(US500)日足、2025/11/28〜2026/6/19、MT5の過去の価格データ。白抜きのローソク足は陽線、塗りつぶしは陰線。グレーの背景がレンジ、薄いオレンジの背景がトレンド。オレンジの実線と薄いオレンジの帯が20本のドンチャンチャネル、金色の破線が中心線、紫の破線が10本最安値。右が価格、下が日付で、丸数字は下の説明に対応しています。
1

上方向のブレイクアウト、9本後に中心線まで戻る(2026年1月6日)。終値が前日の20本最高値を上回り、ブレイクアウトに見えました。9本後には終値が中心線の下に戻り、ブレイクアウトの日に追いかけて買っていたら、ここで1.0%の損失です。

2

下方向のブレイクアウト、翌日には押し戻される(2026年2月5日)。終値が20本最安値を割り込み、翌日には中心線の上まで戻りました。売っていたら、1日で2.3%の損失です。レンジ全体では上方向1回、下方向3回で、4回のブレイクアウトはすべて10本以内に中心線まで押し戻されました。損失は1回あたり0.7%から3.6%でした。

3

本物のブレイクアウト:上昇開始から8本目(2026年4月9日)。このブレイクアウトの後は上がり続け、上昇区間では終値が20本ぶりの高値を更新した足が14本ありました。ただし注意が必要です。ブレイクアウトのシグナルが出たとき、価格はすでに上昇の起点から7.6%上がっていました。ドンチャンチャネルは、価格がまず直近20本の範囲から抜け出すのを待つので、必ず一歩遅れます。

4

10本最安値を割って決済(2026年6月5日)。3 でエントリーしてからここまでで7.8%の利益です。途中の最高値(6月2日)では一時11.7%の利益があり、決済時には高値から3.4%を吐き出しました。エントリーも一歩遅れ、決済も一歩遅れる。これがブレイクアウト手法の決まった代償です。

これは実際の過去の値動きで、ドンチャンチャネルの性格を説明するためのものであり、一般法則ではありません。銘柄、時間足、期間を変えれば、数字はすべて変わります。

見えるもの・意味すること

見えるもの ふつう意味すること ただし注意
終値が前日の上バンドを上回る 20本ぶりの高値を更新 レンジではダマシのブレイクアウトであることが多い(チャートの 1)
終値が前日の下バンドを下回る 20本ぶりの安値を更新 同上(チャートの 2)
チャネルが狭く、上下のバンドがどちらも平ら 価格が狭い範囲を行ったり来たりしている どちらにブレイクするかはまだわからない
上バンドが階段状に切り上がっていく 高値更新が続いていて、トレンドが進行中 ブレイクアウトの時点で、すでにかなり進んでいることが多い(チャートの 3)
価格が中心線の下に戻る ブレイクアウト後の勢いが続かなかった ダマシの確認とみなされることが多い

実際の使い方:3つの例

例1:タートル流のブレイクアウトでエントリー、下抜けで決済

ルールは「終値が前日の20本最高値を上抜けたら買い、終値が前日の10本最安値を下抜けたら決済」と書けます。これが最も古典的な書き方です。成績は相場に大きく左右され、トレンドが多ければ良く、レンジが多ければ振り回され続けます。

例2:「レンジでは追わない」フィルターを加える

レンジでのブレイクアウトは押し戻されることが多いので、トレンドがあるかどうかを判断する条件を加えられます。たとえば「ADXが20超のときだけブレイクアウトを採用する」です(ADX指標とは?をご覧ください)。代償として、ADXがまだ上がっていないために見送ってしまう本物のブレイクアウトも出てきます。

例3:チャネルをトレーリングストップとして使う

チャネルはエントリーには使わず、決済だけに使います。買った後、損切りを「10本最安値」に置き、価格が高値を更新するたびに損切りも切り上げていきます。チャートの 4 はこうして決済したものです。

3つの例はどれも同じことを受け入れる必要があります。ドンチャンチャネルは、いつも一歩遅い。価格が範囲から抜け出したことを証明するまで待ってから、ようやく「ブレイクアウトした」と言います。この一歩の代償は、レンジではダマシ、トレンドでは取り逃がした値幅です。

よくある誤用

1. 今日の上バンドでブレイクアウトを判断する

チャネルには今日の足が含まれていて、今日の高値が上バンドを押し上げます。終値は「前日の上バンド」と比べなければ、永遠にブレイクアウトしないか、バックテストでその時点ではまだわからないデータを使ってしまうことになります。

2. 相場環境に関係なく、ブレイクアウトしたら追いかける

チャートのレンジ区間では、4回のブレイクアウトがすべて10本以内に中心線まで押し戻されました。レンジでは、ブレイクアウトはよくあることで、続くほうが少数派です。

3. ブレイクアウト手法で上昇の起点をとらえられると思う

チャートの 3 のブレイクアウトは、上昇開始から8本目、すでに7.6%上がったところで出ました。ブレイクアウト手法がとらえるのはトレンドの中盤であって、起点ではありません。

よくある質問

ドンチャンチャネルとは何ですか?

ドンチャンチャネル(Donchian Channel)は、直近N本の最高値(上バンド)、最安値(下バンド)、その中間点(中心線)でできています。よく使われる期間は20で、主にブレイクアウトの判断に使われます。

ドンチャンチャネルとボリンジャーバンドの違いは?

ボリンジャーバンドは平均に標準偏差を足し引きするので、ボラティリティに応じて滑らかに広がったり狭まったりします。ドンチャンチャネルは最高値と最安値だけを見るので、高値更新・安値更新か古い高値・安値の期限切れのときだけ動き、階段状に描かれます。

タートル流ではドンチャンチャネルをどう使いますか?

よく知られているのは、20日高値の更新でエントリー、10日安値の更新で決済というものです(55日と20日を使う別のバージョンもあります)。これに、ATRで決めるポジションサイズと損切りを組み合わせます。

MT5にドンチャンチャネルはありますか?

MT5をインストールしたときに付いてくる指標の中にあります。Free Indicators フォルダーの Donchian Channel(初期設定20)と、Examples フォルダーの Price Channel(初期設定22)です。指標リストに直接は標準搭載されていません。

まとめ

ドンチャンチャネルのルールは、ひと言で言い切れるほど単純です。高値を更新したら買い、安値を更新したら売る。成績もひと言で言えます。トレンドがあれば良く、なければ振り回され続ける。

ですから本当に問うべきは、あなたの銘柄では、ダマシのブレイクアウトの損失と、本物のブレイクアウトでとれる値幅を合わせると、プラスなのかマイナスなのか?です。この問いには、ひとつの過去の値動きでは答えられません。ルールを多くの相場局面でバックテストする必要があります。

まだ自分のルールがなく、指標を1つずつ組み合わせるのも面倒ですか?MASQuant のストラテジージーニーなら、まず投資スタイルを1つ選ぶだけで、AIが相場環境を分析して銘柄を選び、候補となる戦略を一度に3つ提示します。どれも過去データでバックテスト済みで、リターンと元本の最大ドローダウンがひと目でわかり、MT5に導入するかどうかはあなたが決めます。

すでに自分のアイデアがあるなら、条件を1つの文にまとめましょう。たとえば「終値が前日の20本最高値を上抜けたら買い、終値が前日の10本最安値を下抜けたら決済」として、AIストラテジーアシスタントに渡し、ボタンを押せばバックテストが始まります。バックテスト環境にはスプレッド、スリッページ、市場流動性の変化、執行遅延といった実際の市場の摩擦が含まれています(使い方はAIストラテジーアシスタントの使い方をご覧ください)。さらに「ADXが20超のときだけブレイクアウトを採用する」を加えてもう一度実行すれば、フィルターが防いでいるのがダマシなのか、良い相場なのかがわかります。バックテストが教えてくれるのは「このルールが過去の相場でどうだったか」であり、将来の保証ではありません。

アイデアは、検証されて初めて戦略になる。

本文のチャートはMT5プラットフォームの過去の価格データ(日足。プラットフォームによって価格や日足の区切り方が少し異なるため、数値が完全に一致しない場合があります)から取り、指標はプログラムで標準的な計算方法に従って算出しています。例に使った整数は相場データではありません。過去の値動きは指標の性格を説明するためだけに使っており、将来の値動きを示すものではありません。

リスク開示:CFDはハイリスクの金融商品であり、急速に資金を失う可能性があります。過去の実績は将来の結果を保証するものではなく、すべての戦略とバックテストは参考情報であり、投資助言ではありません。取引前に当社のリスク開示条項を十分にご確認ください。