MFI(マネーフローインデックス)とは?出来高を入れたRSI、1本の大商いが2週間響く

「終値は上がっているのに、MFIが20を割って売られすぎになったのはなぜ?」

MFIは上げ下げだけでなく、出来高も見ているからです。MFIは出来高を入れたRSIで、出来高の大きい日ほど発言力が大きくなります。大商いのローソク足が1本あるだけで、MFIは極端な値まで引っ張られます。しかもその1本は計算の中にずっと残り、丸14本たってからようやく抜けます。この記事ではまず4本のローソク足で一度計算し、次に 1〜4 の番号を付けた実際のチャート(S&P500指数、2016年11月)で、これが実際に起きた様子を確かめます。

この記事は MASQuant の「トレーディングアカデミー・テクニカル指標大全」シリーズの1本です。すべての指標の分類はテクニカル指標大全にまとめています。

ひと言でいうと

MFI=出来高で重みを付けたRSI。0から100の間を動く。

答えてくれる問いは「最近の一定期間、上がった日と下がった日では、どちらの出来高が大きかったか?」です。

RSIは挙手による投票のようなものです。1日に1票、上がった日は1票、下がった日も1票。MFIは持ち株数に応じた投票のようなものです。出来高の大きい日ほど、手持ちの票が多くなります。ふだんは2つの投票結果に大きな差はありませんが、ある1日がいきなり8倍の票を持って現れれば、結果はその1日で決まってしまいます。

まず計算してみる:3日上げて1日下げたのに、結果は売り優勢

MFIはまずローソク足1本ごとの「典型価格」を計算します。(高値 + 安値 + 終値)÷ 3 です。典型価格が前の足より高ければ、その足の「金額」(典型価格 × 出来高)は上の側に入り、低ければ下の側に入ります。以下は4本のローソク足の例です(以下は説明用の整数であり、相場データではありません)。

ローソク足 典型価格 前の足と比べて 出来高 金額
1本目 101 高い 100 上へ 10,100
2本目 102 高い 100 上へ 10,200
3本目 103 高い 100 上へ 10,300
4本目 102 低い 600 下へ 61,200

上の合計は30,600、下の合計は61,200。MFI = 100 − 100 ÷(1 + 30,600 ÷ 61,200)= 33.3 です。

同じ4本でも、出来高を無視して1本ごとの上げ下げを同じ大きさとして数えると(RSIの考え方)、3日上げて1日下げなら 75 になります。差はすべて4本目から来ています。4本目の出来高はふだんの6倍で、1本で前の3本を上回ってしまうのです。

正式な計算式

よく使われるパラメーターは14です。

1 典型価格 =(高値 + 安値 + 終値)÷ 3
2 金額 = 典型価格 × 出来高
3 直近14本の中で:
   典型価格が前の足より高い → 金額を「上」に加える
   典型価格が前の足より低い → 金額を「下」に加える
4 MFI = 100 − 100 ÷(1 + 上の合計 ÷ 下の合計)

MFIは Gene Quong と Avrum Soudack が考案したもので、計算の形はRSIと同じです。違うのは、1本ごとの重みを「典型価格 × 出来高」にしたことだけです。よくある見方は80超なら過熱気味、20未満なら冷え込み気味というもので、RSIの70・30と同じく参考ラインにすぎません。

MT5には Money Flow Index が標準搭載されていて、デフォルトは14、出来高にはティックボリュームを使います(次の節で説明します)。

CFDでは、MFIの「出来高」とは何か?

株式や先物には取引所が公表する出来高がありますが、CFDの多くには集中した取引所がありません。MT5で使えるのはたいていティックボリューム(Tick Volume)、つまりその期間に価格が何回更新されたかであって、実際にいくら約定したかではありません。ですからCFDでは、MFIの「マネー」は実は「価格の更新がどれだけ忙しかったか」です。

価格の更新回数は市場の活発さの近似としてよく使われますが、相場の変動、価格の配信元、取引時間帯の影響を受けます。同じ銘柄でも、プラットフォームによって計算されるMFIが違うことがあります。

チャートで見る:S&P500 2016年11月、1〜4 の順に

下のチャートは、S&P500指数(US500)の2016年9月から12月までの日足で、MT5の過去の価格データから取ったものです。全体では2,185.3から2,238.8まで動きました。11月9日(アメリカ大統領選挙の開票日)のローソク足は特別でした。始値2,141.43、取引中に一時2,031.30まで下がり、最後は2,164.09で引けて、前日の終値より1.19%高く終わっています。グレーの背景は、このローソク足がまだMFIの計算範囲に入っている14本です。

S&P500指数の2016年9月から12月までの日足。11月9日は大商いで終値は上昇したのに、MFIは13.3まで下がり、RSIは逆に58.7まで上がる。14本後に大商いの日が計算範囲から抜けると、MFIは1日で49から72.5へ跳ねる
図:S&P500指数(US500)日足、2016/9/7〜2016/12/30、MT5の過去の価格データ。上段は価格で、白抜きのローソク足は陽線、塗りつぶしは陰線。グレーの背景は11月9日の大商いのローソク足がまだMFIの計算範囲に入っている14本、赤の破線が大商いの日、グレーの破線がその14本後。中段はティックボリューム(赤い1本が11月9日)。下段のオレンジの線がMFI(14)、紫の線がRSI(14)。赤の破線が80、緑の破線が20。下が日付で、丸数字は下の説明に対応しています。
1

ティックボリュームがふだんの8.7倍(2016年11月9日)。この日のティックボリュームは69,099、前45日の中央値はわずか7,936。

2

MFIは27.8から13.3へ下がり、20未満の売られすぎゾーンに入った。終値は上がっているのに、なぜ下として数えられたのか? MFIが見ているのは典型価格だからです。この日の安値2,031.30が(高値 + 安値 + 終値)÷ 3 を2,121.94まで引き下げ、前日の2,136.05より低くなりました。8.7倍の出来高が、まるごと「下」に入ったのです。

3

同じ日、RSIは51.4から58.7に上がった。RSIは終値の上げ下げしか見ないので、陽線は陽線です。同じローソク足なのに、一方の指標は売られすぎ、もう一方は買い優勢と言い、その差は45ポイントです。

4

14本後、MFIは1日で49.0から72.5へ跳ねた(11月29日)。この日の価格の動きはわずか0.13%。跳ねた原因は、11月9日の大商いのローソク足が14本の計算範囲から抜け、「下」の側にのしかかっていた大きな出来高が一度に取り除かれたことです。この14本の間、MFIの動きのかなりの部分はあの1日で決まっていました。

これは実際の過去の値動きで、MFIの性格を説明するためのものであり、一般法則ではありません。銘柄、時間足、期間を変えれば、数字はすべて変わります。

見えるもの・意味すること

見えるもの ふつう意味すること ただし注意
MFIが80より上 最近は上がった日の出来高が大きく、過熱気味 トレンドの中では高い水準にずっととどまることがあり、RSIと同じく反応が鈍くなる
MFIが20より下 最近は下がった日の出来高が大きく、冷え込み気味 大商いの1本だけが原因かもしれない(チャートの 2)
MFIとRSIが大きく離れている 出来高が特定の数日に集中している さかのぼって大商いの1本がないか探す(チャートの 2 3)
価格は横ばいなのに、MFIが急に大きく跳ねる 14本前の大商いのローソク足が抜けたばかり 新しい資金の出入りではない(チャートの 4)
価格は高値を更新したのに、MFIは前回より低い 高値更新時の出来高が少ない ダイバージェンスは手がかりであって、判決ではない

実際の使い方:3つの例

例1:RSIと並べて見て、出来高が集中した日を見つける

MFIとRSIは計算方法が同じで、違うのは出来高だけです。2本の線が大きく離れているときは、最近の数日に特に大きな出来高があったということです。まずそれがどの日で何が起きたのかを突き止め、それからMFIのシグナルを信じるかどうかを決めます。

例2:レンジ相場で過熱と冷え込みを探す

はっきりしたトレンドのない相場では、ルールを「MFIが20を割ってから20の上に戻ったら買い、80を超えてから80の下に戻ったら売り」と書けます。触れた瞬間にエントリーするより、極端なゾーンを抜けるのを待ってからのほうが、ダマシが少し減ります。

例3:大商いのシグナルにクールダウン期間を設ける

MFIの極端な値が大商いの1本によるものなら、その出来高は計算の中に14本残り、最後に抜けるときにもう一度MFIを大きく跳ねさせます。「直近14本の中に出来高が平均の5倍を超える足があるときは、MFIのシグナルを使わない」という1行を加える方法があります。

3つの例はどれも、次のことを覚えておく必要があります。MFIは出来高の大きい日の声を大きくする。CFDでは、この「出来高」は価格が更新された回数で、表しているのは価格の更新がどれだけ忙しかったかであって、本当のお金とは限りません。

よくある誤用

1. MFIが20を下回ったら売られすぎとして買う

チャートの 2 の日は終値が1.19%上がっていたのに、MFIは13.3でした。売られすぎゾーンに落ちた原因は、8.7倍の大商いのローソク足で、しかもその典型価格がたまたま前日より低かったことです。極端な値を見たら、まず原因を探しましょう。

2. MFIは必ずRSIより正確だと思う

MFIは出来高が加わった分、情報も増えますが、ノイズも増えます。CFDで使っているのはティックボリュームで、実際の売買代金ではありません。RSIより優れているかどうかは、自分の銘柄でバックテストしてみないとわかりません。

3. MFIが大きく跳ねたら、資金が大量に流入したと思う

チャートの 4 では、MFIは1日で23.5跳ねましたが、価格はわずか0.13%しか動いていません。14本前の大商いが計算範囲から抜けただけで、今日誰かが大量に買ったわけではありません。

よくある質問

MFI指標とは何ですか?

MFI(Money Flow Index、マネーフローインデックス)は出来高を加えたRSIです。典型価格に出来高を掛けたものを1本ごとの重みとし、上と下の比率を計算します。値は0から100の間で、よく使われる期間は14です。

MFIとRSIの違いは?

RSIは終値の上げ幅・下げ幅だけを見ます。MFIは典型価格の向きを見て、さらに出来高を掛けます。出来高が均等なときは両者はほぼ同じですが、出来高が特定の数日に集中すると、大きく違うことがあります。

MFIの80と20はどう見ればいいですか?

よくある見方は、80超なら過熱気味、20未満なら冷え込み気味というものです。RSIと同じく、はっきりしたトレンドの中ではMFIが極端なゾーンにとどまり続けることがあるので、それだけを反転のシグナルにはできません。

MT5にMFIはありますか?

あります。MT5には Money Flow Index が標準搭載されていて、デフォルトの期間は14、出来高にはデフォルトでティックボリューム(Tick Volume)を使います。

まとめ

MFIの考え方は理にかなっています。出来高を伴った上げ下げは、出来高のない上げ下げより重みがある。その代わり、大商いが1本あるだけでMFIは丸14本にわたって左右され、しかもCFDでは、その「出来高」は価格が更新された回数です。

ですから本当に問うべきは、あなたの銘柄では、MFIのシグナルはRSIより優れているのか? それとも大商いによるノイズが増えただけなのか?です。この問いには、ひとつの過去の値動きでは答えられません。ルールを多くの相場でバックテストする必要があります。

まだ自分のルールがなく、指標を1つずつ組み合わせるところから始めたくない? MASQuant のストラテジージーニーなら、まず投資スタイルを1つ選ぶだけで、AIが相場を分析して銘柄を選び、候補の戦略を一度に3つ出してくれます。どれも過去のデータでバックテスト済みで、リターンと元本の最大ドローダウンを並べて確認したうえで、MT5に導入するかどうかをあなたが決めます。

すでに自分のアイデアがあるなら、条件を1つの文にまとめて、たとえば「MFIが20を割ってから20の上に戻ったら買う」として、AIストラテジーアシスタントに渡し、ボタンを押せばバックテストが始まります。バックテスト環境にはスプレッド、スリッページ、市場流動性の変化、執行遅延といった実際の市場の摩擦が含まれています(使い方はAIストラテジーアシスタントの使い方をご覧ください)。さらにMFIをRSIに替えてもう一度実行すれば、出来高を加えたことが役に立ったかどうかがわかります。バックテストが教えてくれるのは「このルールが過去の相場でどうだったか」であり、将来の保証ではありません。

アイデアは、検証されて初めて戦略になる。

本文のチャートはMT5プラットフォームの過去の価格データ(日足。プラットフォームによって価格や日足の区切り方が少し異なるため、数値が完全に一致しない場合があります)から取り、指標はプログラムで標準的な計算方法に従って算出しています。例に使った整数は相場データではありません。過去の値動きは指標の性格を説明するためだけに使っており、将来の値動きを示すものではありません。

リスク開示:CFDはハイリスクの金融商品であり、急速に資金を失う可能性があります。過去の実績は将来の結果を保証するものではなく、すべての戦略とバックテストは参考情報であり、投資助言ではありません。取引前に当社のリスク開示条項を十分にご確認ください。