OBV指標とは?OBVが上がり続けるのは、誰かが買い集めているから?

「価格はたいして動いていないのに、OBVはずっと上がっている。誰かがこっそり買い集めているのでは?」

これがOBVのいちばんよくある使い方です。「出来高」が「価格」より先に動き出していないかを見るのです。考え方はもっともですが、OBVにはあまり語られない点が2つあります。1本の大商いで線全体が書き換わること、そしてCFDでは、OBVが見ている「出来高」がたいていあなたが思っている出来高ではないことです。この記事ではまずローソク足5本で一度計算し、次に 1〜4 の番号を付けた実際のチャート(ユーロ/ドル、2024年)で、この2点をはっきりさせます。

この記事は MASQuant の「トレーディングアカデミー・テクニカル指標大全」シリーズの1本です。すべての指標の分類はテクニカル指標大全にまとめています。

ひと言でいうと

OBV(オンバランスボリューム)=終値が上がればその足の出来高を足し、終値が下がればその足の出来高を引き、ずっと積み上げて1本の線にしたもの。

答えてくれる問いは「最近の出来高は、上昇した足と下落した足のどちらに多く出ているか?」です。

とても大ざっぱな家計簿だと考えてください。終値が上がった足は、その出来高を丸ごと「収入」として記帳し、終値が下がった足は丸ごと「支出」として記帳します。問題は、どれだけ上がったか、どれだけ下がったかを気にしないことです。わずか1銭上がっただけでも、その足の出来高は丸ごと収入として記帳されます。

まず計算してみる:5本のローソク足でわかる

下は5本のローソク足の終値と出来高です(説明用の数字であり、相場データではありません)。1本目から記帳を始めます。

何本目 終値 前の足と比べて 出来高 OBVの変化 OBV
1本目 100.0 — — ここから数え始める 0
2本目 100.5 上昇 300 +300 300
3本目 100.2 下落 200 −200 100
4本目 100.3 0.1だけ上昇 2,000 +2,000 2,100
5本目 100.1 下落 250 −250 1,850

1本目から5本目まで、価格は100.0から100.1へとほとんど動いていません。それなのにOBVは0から1,850まで上がっています。しかもこの1,850のほぼすべてが4本目から来ています。出来高が特に大きく、しかも終値がたまたま前の足より0.1高かったので、2,000がまるごと足されたのです。

OBVの線だけを見ると、「価格は動いていないのに出来高がずっと入ってきている、誰かが買い集めている」と思うでしょう。実際には、1本の大商いがたまたま少しだけ高く引けただけです。

もうひとつ注意してください。OBVはある足から積み上げを始めます。3本目から記帳を始めれば、数字はまったく違ってきます。ですからOBVの数字そのもの(たとえば「OBVは1,850」)には意味がなく、意味があるのはどちらに向かっているかだけです。

正式な計算式

終値が前の足より高い:OBV = 前のOBV + この足の出来高
終値が前の足より低い:OBV = 前のOBV − この足の出来高
終値が同じ:     OBVは変わらない

OBV(On-Balance Volume、オンバランスボリューム)は Joseph Granville が1963年に発表しました。MT5では標準搭載の On Balance Volume で、デフォルトではティックボリュームを使います(後で説明します)。

チャートで見る:2024年8月5日のあの1本、1〜4 の順に

下のチャートは、ユーロ/ドル(EURUSD)の2024年3月から8月までの日足で、MT5の過去の価格データから取ったものです。計算するのはグレーの背景の区間だけです。6月10日から8月9日まで、ローソク足は全部で45本、価格は1.0800から1.0914へ、わずか1.1%しか動いていません。この区間の最後の数日に、ちょうど2024年8月5日、世界の株式市場が急落した日が入っています。

ユーロ/ドルの2024年3月から8月までの日足。2024年8月5日の大商いの1本でOBVが大きく1段跳ね上がり、それがなければ6月10日から8月9日までのOBVは減っていた
図:ユーロ/ドル(EURUSD)日足、2024/3/10〜2024/8/9、MT5の過去の価格データ。最上段は価格で、白抜きのローソク足は陽線、塗りつぶしは陰線。グレーの背景がこの記事で計算した区間です。中段のグレーの棒は出来高(MT5のティックボリューム)で、赤い棒が2024年8月5日(赤の破線で位置を表示)。最下段のオレンジの線がOBVです。右が価格、下が日付で、丸数字は下の説明に対応しています。
1

ここから数え始める(6月7日終値時点のOBV)。

2

8月5日のあの1本は、出来高がチャート全体の平均の3.2倍。その日は世界の株式市場が急落し、価格のティックが急増しました。そして終値はたまたま前日より0.4%高かったのです。

3

そのため、その1本の出来高が丸ごと足され、OBVは一気に大きく1段跳ね上がりました。上の例の4本目と同じです。

4

8月9日、この区間が終わる。1 から 4 まで、OBVは約15.3万増えました。ところが 2 の1本だけで約19.2万足されていて、区間全体の増加分より多いのです。それを除くと、この2か月のOBVは実は約3.9万減っています。

OBVの線だけを見ると、「価格はあまり動いていないのに、出来高がずっと入ってきている」と思うでしょう。実際には、1本の大商いがたまたま少し高く引けただけで、2か月分のOBVをプラスにひっくり返していたのです。(ここでの「出来高」はティックボリュームで、単位は価格の更新回数です。)

これは実際の過去の値動きで、OBVの性格を説明するためのものであり、一般法則ではありません。銘柄、時間足、期間を変えれば、数字はすべて変わります。

CFDでは、OBVの「出来高」とは何か?

これはCFDトレーダーにとって特に大事な点です。株式や先物には取引所が公表する出来高がありますが、CFDの多くには集中した取引所がありません。MT5で使えるのはたいていティックボリューム(Tick Volume)、つまりその期間に価格が何回更新されたかであって、実際に何枚約定したかではありません。

MT5標準搭載の On Balance Volume は、デフォルトでティックボリュームを使います。ティックボリュームは取引の活発さの近似としてよく使われますが、反映しているのは価格の更新回数で、相場の変動、価格の配信元、取引時間帯の影響を受け、本当の出来高とは別物です。同じ銘柄でも、プラットフォームや価格の配信元が違えば、OBVの形が違って見えることがあります。

見えるもの・意味すること

見えるもの ふつう意味すること ただし注意
OBVと価格がいっしょに上がる 上昇した足の出来高が大きく、出来高と価格がそろっている OBVの数字そのものに意味はなく、方向だけを見る
価格は動かず、OBVが上がる 「出来高は価格に先行する」と言う人もいる まず1〜2本の大商いで押し上げられていないかを見る(チャートの 1〜4)
価格は高値を更新、OBVは更新しない 出来高と価格のダイバージェンスで、勢いが弱まっているかもしれない 以前のある大商いでOBVがかさ上げされすぎていただけかもしれない
OBVが突然大きく1段跳ねる ある1本の出来高が特に大きい たいていニュースや出来事と関係があり、持続的な買いとは限らない

実際の使い方:3つの例

例1:方向だけを見て、数字は見ない

問うべきは「OBVと価格が同じ方向に進んでいるか」「OBVが高値・安値を更新したか」であって、「OBVは今いくつか」ではありません。数字はどこから数え始めたかで決まるので、比べることはできません。

例2:まずどの足が押し上げたかを見る

OBVがはっきり上がっている区間を見つけたら、下の出来高を見てください。着実に入ってきているのか、それとも1〜2本の大商いで押し上げられているのか。後者はチャートの 2 のように、たいてい何かのニュースと関係があり、持続的な買いを意味するとは限りません。

例3:「シグナル」ではなく「確認」として使う

たとえば、価格が20日線を上回ったとき、OBVも自分の20日移動平均の上にある場合だけ有効とします。OBVはいつエントリーするかを教える役ではなく、「出来高がついてきているか」をもう一度見る役です。

よくある誤用

1. 2つの時点のOBVの数字を比べる

「先月のOBVは5,000、今は8,000」——この比較は同じ起点、同じプラットフォームでしか成り立たず、それでもなお、その間に少数の大商いに支配されていないかを見る必要があります。

2. OBVのダイバージェンスを反転シグナルとして扱う

価格は高値を更新したのにOBVは更新しない状態は、よく出来高と価格のダイバージェンスと呼ばれます。警告かもしれませんし、以前のある大商いでOBVがかさ上げされすぎていただけかもしれません。ダイバージェンスは手がかりであって、判決ではありません。MACDダイバージェンスは必ず反転につながるのか?をご覧ください。

3. CFDで本当の出来高として扱う

ティックボリュームは出来高ではありません。ティックボリュームで計算したOBVは、せいぜい参考程度にしかなりません。

よくある質問

OBV指標とは何ですか?

OBV(オンバランスボリューム)は Joseph Granville が1963年に発表した指標です。終値が上がったときはその足の出来高を足し、下がったときは引いて1本の線に積み上げ、出来高と価格の方向がそろっているかを観察するのに使います。

OBVの数値が高いと何を意味しますか?

数値だけを見ても意味はありません。どこから積み上げを始めたかで決まるからです。見るべきはOBVの方向と、それが価格の動きとそろっているかどうかです。

OBVのダイバージェンスとは何ですか?

価格が高値を更新したのにOBVが更新しない(またはその逆)状態を出来高と価格のダイバージェンスと呼び、勢いが弱まっている手がかりとしてよく扱われます。ただし1〜2本の大商いで見せかけのダイバージェンスが生じることもあるので、それだけで反転シグナルとして扱うことはできません。

CFDでOBVは使えますか?

使えます。ただし、MT5のCFDの多くにはティックボリュームしかなく、OBVもデフォルトでティックボリュームで計算されることを知っておく必要があります。反映しているのは価格の更新の活発さであって、実際に何枚約定したかではありません。

まとめ

OBVの考え方はよいものです。出来高は価格より一歩早く力を明かすことがよくあります。しかし計算方法はとても大ざっぱです。終値の上げ下げだけを見て、足の出来高を丸ごと足したり引いたりします。1本の大商いだけで、OBVの一区間をまるごと押し上げられるのです。

ですから本当に問うべきは、あなたの銘柄では、OBVの反転は価格に先行しているのか?それとも価格についていっているだけか?です。この問いには、ひとつの過去の値動きでは答えられません。当社のAIストラテジーアシスタントでバックテストすればわかります。

条件を1つの文にまとめて、たとえば「OBVが自分の20日移動平均を上回り、価格も20日線を上回ったときだけエントリー」として、MASQuant のAIストラテジーアシスタントに渡し、ボタンを押せばバックテストが始まります。バックテスト環境にはスプレッド、スリッページ、市場流動性の変化、執行遅延といった実際の市場の摩擦が含まれています(使い方はAIストラテジーアシスタントの使い方をご覧ください)。さらにOBVの条件を外してもう一度実行すれば、それが本当に役立ったかどうかがわかります。バックテストが教えてくれるのは「このルールが過去の相場でどうだったか」であり、将来の保証ではありません。

アイデアは、検証されて初めて戦略になる。

本文のチャートはMT5プラットフォームの過去の価格データ(日足。プラットフォームによって価格や日足の区切り方が少し異なるため、数値が完全に一致しない場合があります)から取り、指標はプログラムで標準的な計算方法に従って算出しています。例に使った整数は相場データではありません。過去の値動きは指標の性格を説明するためだけに使っており、将来の値動きを示すものではありません。

リスク開示:CFDはハイリスクの金融商品であり、急速に資金を失う可能性があります。過去の実績は将来の結果を保証するものではなく、すべての戦略とバックテストは参考情報であり、投資助言ではありません。取引前に当社のリスク開示条項を十分にご確認ください。

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