CMF(チャイキン・マネーフロー)とは?CMFが0を上回れば、資金が流入しているのか

「CMFはずっと0より上。資金が流入しているんだから、そんなに深くは下げないよね?」

CMFの「資金流入」は、言葉の印象よりずっと狭い意味です。見ているのは直近20本のローソク足で、終値が当日の高値と安値のどこにあるかだけ。多くが高値圏で引けていればプラスになり、その20本が上がっていたか下がっていたかは関係ありません。毎日安く寄り付き、売り込まれ、そこから安値を戻して引ける下落なら、CMFはずっとプラスのままでいられます。この記事ではまずローソク足3本で一度計算し、次に 1〜4 の番号を付けた実際のチャート(S&P500指数、2025年初め)で、それが実際に起きた様子を見ます。

この記事は MASQuant の「トレーディングアカデミー・テクニカル指標大全」シリーズの1本です。すべての指標の分類はテクニカル指標大全にまとめています。

ひと言でいうと

CMF=直近20本のうち、出来高の多くが「高値圏で引けた日」に出ているか、「安値圏で引けた日」に出ているか。

−1から+1の間で動きます。0を上回れば高値圏で引けた日の出来高が多く、0を下回ればその逆です。

CMFは、毎試合の「最後の1分」だけを見るコーチのようなものです。毎試合、最後の1分に追い上げていれば、コーチは粘り強いチームだと言う。たとえシーズン全体では負け越していても。CMFが見るのは「毎日の引け際の位置」で、「期間全体で上がっているか下がっているか」ではありません。

まず計算してみる:下げ続けているのに、CMFはプラス

CMFが使う位置のスコアCLVはA/Dと同じで、当日の高値で引ければ+1、安値で−1、ちょうど真ん中で0です。計算しやすいように3本で考えます(以下は説明用の整数であり、相場データではありません)。この3日間、終値は98、96と下げ続けて94になりましたが、最初の2日はどちらも安く寄り付いて売り込まれ、そこから当日の高値圏まで戻して引けています。

ローソク足 終値 CLV(当日のどこで引けたか) 出来高 CLV × 出来高
1本目 98(下落) +0.8(当日の高値に近い) 100 +80
2本目 96(下落) +0.6 100 +60
3本目 94(下落) −0.5(当日の安値寄り) 120 −60

CMF =(80 + 60 − 60)÷(100 + 100 + 120)= +0.25。3日とも下げているのに、CMFはプラスです。出来高の多くが「当日の高値圏で引けた」日に出ているからです。CMFは、価格が前日より下がったことを知りません。

正式な計算式

よく使われるパラメーターは20です。

1 CLV =〔(終値 − 安値)−(高値 − 終値)〕÷(高値 − 安値)
2 CMF = 直近20本の(CLV × 出来高)の合計 ÷ 直近20本の出来高の合計

CMFは Marc Chaikin が考案したもので、A/Dと同じCLVを使います(A/Dライン(アキュムレーション・ディストリビューション)とは?をご覧ください)。違いは、A/Dが累計し続けるのに対し、CMFは直近20本だけを見て出来高の合計で割るので、値が−1から+1の間に収まり、異なる時期どうしで比べられることです。よくある見方は0超なら買い寄り、0未満なら売り寄りというもので、0付近での行ったり来たりを減らすために±0.05や±0.1をしきい値にする人もいます。

MT5にはCMFが標準搭載されていません(標準搭載されているのは Chaikin Oscillator で、A/Dから計算される別の指標です)。別途カスタム指標をインストールする必要があります。

CFDでは特に注意が必要です。CFDの多くには集中した取引所がなく、MT5で使えるのはたいていティックボリューム(Tick Volume)、つまりその期間に価格が何回更新されたかであって、実際にどれだけ約定したかではありません。市場の活発さの近似としてよく使われますが、相場の変動、価格の配信元、取引時間帯の影響を受け、同じ銘柄でもプラットフォームによって計算される値が違うことがあります。

チャートで見る:S&P500 2025年初め、1〜4 の順に

下のチャートは、S&P500指数(US500)の2024年12月中旬から2025年4月初めまでの日足で、MT5の過去の価格データから取ったものです。前半はレンジ(始まりと終わりの差はわずか0.8%)。2025年1月27日から4月4日までの50本で、6,017から5,062へ15.9%下落しました。

S&P500指数の2024年12月から2025年4月までの日足。2025年1月末から4月初めにかけて15.9%下落したが、下段のCMFはこの下落の大半の期間で0を上回っていた
図:S&P500指数(US500)日足、2024/12/12〜2025/4/4、MT5の過去の価格データ。上段は価格で、白抜きのローソク足は陽線、塗りつぶしは陰線。グレーの背景がレンジ、薄いオレンジの背景がトレンド(ここでは下落)。下段のオレンジの線がCMF(20)、グレーの破線が0で、0より上の領域は薄いオレンジで塗っています。右が価格、下が日付で、丸数字は下の説明に対応しています。
1

下落が始まったとき、CMFは+0.119(2025年1月27日)。直前のレンジの最後の20本では、出来高の多い日の多くが高値圏で引けていて、CMFはプラスのまま下落に入りました。

2

下げて引けたのに、当日の高値付近で引けた(2025年2月3日)。この日の終値は0.16%の下落でしたが、ザラ場で売り込まれたあと戻し、CLVは0.91。このような「下ヒゲの長い」ローソク足は、1本ごとにCMFを押し上げます。

3

CMFの最高値:+0.372(2025年2月13日)。このとき価格はまだ下落の起点より1.6%高く、さらに4営業日後(2月19日)にこの期間の最高値6,136で引けてから、ようやく本格的に下げ始めました。CMFがいちばん強かったとき、大きな下落まではあと数日しかありませんでした。

4

下落が終わったとき、価格は15.9%下げていた(2025年4月4日)。この50本のうち、CMFが0を上回っていた日は78%で、平均は+0.132。60%の日が当日の値幅の上半分で引けていました。3月12日になって、安値圏で引けたローソク足が十分にたまり、CMFは初めて0を下回りました。そのとき価格はすでに最高値から大きく下げていました。

これは実際の過去の値動きで、CMFの性格を説明するためのものであり、一般法則ではありません。銘柄、時間足、期間を変えれば、数字はすべて変わります。

見えるもの・意味すること

見えるもの ふつう意味すること ただし注意
CMFが0超 最近の出来高の多い日は、多くが当日の高値圏で引けている 価格が上がっているという意味ではない(チャートの 4:15.9%下げた期間でも、78%の日で0超)
CMFが0未満 最近の出来高の多い日は、多くが当日の安値圏で引けている 価格が下がっているという意味ではない
CMFが0付近を行ったり来たり 終値の位置にはっきりした偏りがない ±0.05をしきい値にすると、行ったり来たりが少し減る
価格は下落、CMFは高い 毎日安値から戻している 売り込まれたあとのリバウンドにすぎず、底ではないかもしれない(チャートの 3)
CMFが急に大きく跳ねる 20本前の大商いのローソク足がちょうど計算から外れた 20本さかのぼって原因を探す

実際の使い方:3つの例

例1:方向ではなく、順張りの確認に使う

まず価格で方向を判断し、それからCMFで確認します。ルールは「価格が50期間移動平均線の上にあり、しかもCMFが0.05を上回るときだけ買う」と書けます。CMFが答えるのは「終値が強めかどうか」だけで、方向は価格に任せます。

例2:価格と合わせてダイバージェンスを見る

価格が安値を更新したのに、CMFは前回より高い。売り込まれたあと、当日の高値圏まで戻して引けることが多いということです。これは手がかりであって買いポイントではありません。チャートの下落では、CMFは大半の期間プラスでしたが、価格はそれでも15.9%下げました。

例3:しきい値でノイズを減らす

CMFは0付近で行ったり来たりしやすい指標です。条件を「0超」から「+0.05超」に、「0未満」から「−0.05未満」に変えれば、0付近で反転を繰り返すシグナルを少し減らせます。しきい値をいくつにするかは、あなたの銘柄でバックテストして決めましょう。

3つの例のどれでも覚えておきたいのは、CMFが語るのは「毎日どこで引けたか」ということです。高値圏で引け続ける下落は、CMFの目には強めに映ります。

よくある誤用

1. CMFが0超なら資金が流入していると考える

チャートの50本の下落では、CMFが0を上回った日が78%、平均+0.132でしたが、価格は15.9%下げました。CMFの「流入」が意味するのは、終値が当日の高値圏に偏っているということだけです。

2. CMFを方向の指標として単独で使う

CMFは今日が前日より高いか低いかを知りません。「CMFが0超なら買い」だけで判断すると、下落中もずっと買い続けることになります。方向は別に判断する必要があります。

3. CFDで本当の資金の動きとして読む

CFDの出来高の多くは価格の更新回数です。CFDでCMFが映しているのは、「価格の更新がいちばん多かった数日が、高値圏で引けたか安値圏で引けたか」です。

よくある質問

CMF指標とは何ですか?

CMF(Chaikin Money Flow、チャイキン・マネーフロー)は Marc Chaikin が考案した指標で、直近20本の「終値の位置のスコアCLV × 出来高」を合計し、出来高の合計で割ったものです。−1から+1の間で動きます。

CMFとA/Dの違いは?

どちらも同じCLVを使います。A/Dはある日から累計し続けるので、方向しか見られません。CMFは直近20本だけを計算して出来高の合計で割るので、値に範囲があり、異なる時期どうしで比べられます。

CMFとMFIの違いは?

MFIは典型価格が前の足より高いか低いかを見る、出来高を加えたRSIです。CMFは終値が当日の高値と安値のどこにあるかを見て、前の足とは比べません。

MT5にCMFはありますか?

MT5にはCMFが標準搭載されておらず、別途カスタム指標をインストールする必要があります。標準搭載の Chaikin Oscillator は別の指標で、A/Dの3期間EMAから10期間EMAを引いたものです。

まとめ

CMFが見ているのは、毎日どこで引けたかという本当のディテールです。ただ、それを「マネーフロー」と呼ぶので、「お金が入ってきている、だから上がる」と読まれやすいのです。

ですから本当に問うべきは、あなたの銘柄で「CMFが0.05超」を買いの確認に使うと、防いでいるのはダマシのブレイクアウトなのか、それとも良い値動きなのか?です。この問いには、ひとつの過去の値動きでは答えられません。ルールをたくさんの相場でバックテストする必要があります。

まだ自分のルールがなく、指標を1つずつ組み合わせるところから始めたくない? MASQuant のストラテジージーニーなら、まず投資スタイルを1つ選ぶだけで、AIが市況を分析して銘柄を選び、候補の戦略を一度に3つ提示します。どれも過去データでバックテスト済みで、リターンと元本の最大ドローダウンをすべて確認したうえで、MT5に導入するかどうかをあなたが決めます。

すでに自分のアイデアがあるなら、条件を1つの文にまとめて、たとえば「価格が50期間移動平均線の上にあり、しかもCMFが0.05を上回るときだけ買う」として、AIストラテジーアシスタントに渡し、ボタンを押せばバックテストが始まります。バックテスト環境にはスプレッド、スリッページ、市場流動性の変化、執行遅延といった実際の市場の摩擦が含まれています(使い方はAIストラテジーアシスタントの使い方をご覧ください)。さらにCMFの条件を外してもう一度実行すれば、CMFが役立っているかどうかがわかります。バックテストが教えてくれるのは「このルールが過去の相場でどうだったか」であり、将来の保証ではありません。

アイデアは、検証されて初めて戦略になる。

本文のチャートはMT5プラットフォームの過去の価格データ(日足。プラットフォームによって価格や日足の区切り方が少し異なるため、数値が完全に一致しない場合があります)から取り、指標はプログラムで標準的な計算方法に従って算出しています。例に使った整数は相場データではありません。過去の値動きは指標の性格を説明するためだけに使っており、将来の値動きを示すものではありません。

リスク開示:CFDはハイリスクの金融商品であり、急速に資金を失う可能性があります。過去の実績は将来の結果を保証するものではなく、すべての戦略とバックテストは参考情報であり、投資助言ではありません。取引前に当社のリスク開示条項を十分にご確認ください。