ストキャスティクスRSIとは?より敏感で、より多く外れる

「RSIは遅すぎる。ストキャスティクスRSIのほうが速い。」

ストキャスティクスRSI(Stochastic RSI)は確かにRSIよりずっと速い指標です。その仕組みは巧妙で、価格ではなく、RSIそのものが最近の中で高いか低いかを見ます。RSIが少し上がるだけで、天井まで振り切れることがあります。ただし、速さの代償はうるささです。この記事ではまず4つのRSIの値で一度計算し、次に 1〜4 の番号を付けた実際のチャート(ドイツ40指数、2024年)で、その敏感さがレンジとトレンドでそれぞれ何になるかを見ます。

この記事は MASQuant の「トレーディングアカデミー・テクニカル指標大全」シリーズの1本です。すべての指標の分類はテクニカル指標大全にまとめています。

ひと言でいうと

ストキャスティクスRSI=今のRSIが、RSI自身の直近14本の最高値から最安値までの間で、どの位置にあるか。

答えている問いは、「最近と比べて、今のRSIは高いのか低いのか?」です。

「何点取ったか」と「何番目か」の違いだと考えてください。RSIは今回のテストの点数、ストキャスティクスRSIは今回の点数が、自分の直近14回のテストの中で何番目かです。直近14回がずっと45〜55点で、今回53点なら、点数はふつうですが、自分の最近の成績の中ではもう上位です。だからストキャスティクスRSIは高くなります。

まず計算してみる:4つのRSIの値でわかる

直近14本のRSIの最安値が45、最高値が55だったとします(説明のための整数で、相場データではありません)。計算は(今のRSI − 最安値)÷(最高値 − 最安値)× 100 です。

今のRSI 計算 ストキャスティクスRSI わかりやすく言うと
55 (55 − 45)÷ 10 × 100 100 直近14本のRSIの最高値
53 (53 − 45)÷ 10 × 100 80 RSIはまだ53で70から遠いのに、ストキャスティクスRSIはもう「買われすぎライン」に届いている
50 (50 − 45)÷ 10 × 100 50 ちょうど真ん中
47 (47 − 45)÷ 10 × 100 20 RSI 47はごくふつうなのに、ストキャスティクスRSIは「売られすぎライン」に来ている

これが敏感な理由です。比べている相手は70や30ではなく、RSI自身の最近の姿です。RSIが45〜55の間で小さく揺れるだけで、ストキャスティクスRSIは0〜100の間を大きく振れます。

実際には、この生の値をさらに3期間で平均したものを%K、%Kをさらに3期間で平均したものを%Dと呼びます。平均した線のほうが滑らかですが、原理は変わりません。

正式な計算式

1 まずRSI(14)を計算する
2 ストキャスティクスRSI =(RSI − 直近14本のRSIの最安値)÷(直近14本のRSIの最高値 − 最安値)
3 100を掛け、3期間平均を%K、%Kの3期間平均を%Dとする

ストキャスティクスRSIは、Tushar ChandeとStanley Krollが1994年に発表した指標で、ストキャスティクス(KDの元の式)をRSIに当てはめたものです。よく使われる設定は14、14、3、3と書かれます:RSI期間14、ストキャスティクス期間14、%Kの平滑化3、%Dの平滑化3。80以上は買われすぎ、20以下は売られすぎと呼ばれることが多いです。

ストキャスティクスRSIはMT5の標準搭載指標ではなく、カスタムインジケーターを入れる必要があります。TradingViewなどのチャートソフトには標準で入っています。

チャートで見る:ドイツ40指数の2024年、1〜4 の順に

下のチャートはドイツ40指数(GER40)の2024年4月〜2025年1月の日足で、MT5の過去の価格データから取っています。最初の5か月は終値が17,308〜18,947の間を行き来し、9月から上昇して、2025年1月20日に21,018で引けました。真ん中はRSI(14)、いちばん下はストキャスティクスRSIです。

ドイツ40指数 2024年4月〜2025年1月の日足チャート。レンジではRSIがほぼ40〜60の間にあり、ストキャスティクスRSIは80以上に3回、20以下に6回。上昇局面ではストキャスティクスRSIが80以上から3回下落し、RSIが70以上から下落したのは1回だけ
図:ドイツ40指数(GER40)日足、2024/4/15〜2025/1/20、MT5の過去の価格データ。いちばん上が価格で、白抜きのローソク足は陽線、塗りつぶしは陰線。グレーの背景がレンジ、薄いオレンジの背景がトレンドです。真ん中の紫の線がRSI(14)、赤と緑の破線が70と30。いちばん下のオレンジの線がストキャスティクスRSIの%K、灰色の線が%Dで、赤と緑の破線が80と20です。右が価格、下が日付で、丸数字は下の説明に対応しています。
1

レンジでのRSI:静か(6月4日、RSI 49.6)。レンジ全体を通して、RSIは70に届かず、30を割ったのも1回だけ。82%の時間は40〜60の間にありました。

2

同じ区間で、ストキャスティクスRSIが20を割る(6月13日)。RSIが40〜60の間で揺れているだけなのに、ストキャスティクスRSIは端から端まで走り回っています:80超えが3回、20割れが6回。レンジの中の短期の転換を求めるなら、こちらのほうがずっと多く出してくれます。

3

上昇の途中で、ストキャスティクスRSIが80以上から下落(10月2日)。上昇局面で価格は14.8%上がり、その間の最大の押しは3.3%にすぎません。それでもこの区間で、ストキャスティクスRSIは80以上から80未満に戻ったことが3回あり、3 はその1回目です。「買われすぎラインを割り込んだら売り」なら、ストキャスティクスRSIでは3回売ることになります。

4

同じ区間で、RSIが70以上から戻ったのは1回だけ(12月16日)。RSIは平滑化されていて、より長い勢いを見ているので、小さな押しには揺さぶられにくいのです。ストキャスティクスRSIの売りシグナルはRSIの3倍で、価格は区間全体で上がり続けていました。

これは実際の過去の値動きの一区間で、ストキャスティクスRSIの性格を説明するためのものであり、一般的な法則ではありません。銘柄、時間足、区間が変われば、数字はすべて変わります。

見えるもの・意味すること

見えるもの ふつうの意味 ただし注意
ストキャスティクスRSIが80以上 RSIが自分の最近のレンジの中で高め RSIそのものは50台かもしれず、価格が大きく上がったとは限らない
ストキャスティクスRSIが20以下 RSIが自分の最近のレンジの中で低め 同じく、価格が大きく下がったとは限らない
レンジで0〜100の間を大きく振れる レンジの中の小さな転換(チャートの 2) いちばん役に立つ場面だが、一つひとつの転換は小さい
上昇中に80以上から下落 RSIが少し冷えた ただのひと休みのことが多い(チャートの 3)
%Kが%Dを上抜く 短期的に強くなった %Kだけを見るより少し遅いが、ダマシは少し減る

実際の使い方:3つの例

例1:大きな方向は別の指標に任せ、タイミングだけを担当させる

ストキャスティクスRSIはRSIの最近の小さな起伏を見るので、短期向きです。大きな方向は移動平均線、ADX、あるいはRSIそのものに任せ、ストキャスティクスRSIはその方向の中でタイミングを探すだけにします。ルールの例:「価格が50日線の上にあり、ストキャスティクスRSIが20以下から反発したらエントリー」。

例2:80と20はレンジでだけ使う

レンジでは、80と20は小さな波の終わりであることが多い(チャートの 2)。トレンドでは、高値圏で下落と上昇を繰り返し、続かない売りシグナルを次々に出します(チャートの 3)。まず相場の状態を判断してから、耳を傾けるかどうかを決めましょう。

例3:%Kと%Dのクロスを見る、または両端を離れるのを待つ

%Kは速く、%Dは遅い。%Kと%Dのクロスを待つ、あるいは買われすぎ・売られすぎゾーンを離れてから動くと、少し遅くなりますが、ダマシは減ります。

よくある誤用

1. RSIより「正確」だと思い込む

ストキャスティクスRSIは敏感なだけで、正確なわけではありません。「最近高めだ」と、より早く、より頻繁に教えてくれますが、その多くは後で何も起きません。

2. トレンドの中で逆張りに使う

チャートの上昇局面で、買われすぎから3回下落しましたが、価格は上がり続けました。トレンドの中で天井探しに使うと、途中で売ってばかりになりがちです。

3. その80をRSIの70と比べる

両者が測っているものは違います。ストキャスティクスRSIが80というのは、RSIが最近のレンジの中で高めだというだけです。例のように、RSIそのものは53かもしれません。

よくある質問

ストキャスティクスRSIとは?

ストキャスティクスRSI(Stochastic RSI)は、Tushar ChandeとStanley Krollが1994年に発表した指標で、ストキャスティクスの式をRSIに当てはめ、RSIが直近N本の高低レンジのどこにあるかを0〜100で測ります。たとえば直近14本のRSIの最安値が45、最高値が55で、今のRSIが53なら、ストキャスティクスRSIは80です。

ストキャスティクスRSIとRSIの違いは?

RSIは価格の上げ下げの勢いを比べ、70と30で判断します。ストキャスティクスRSIはRSIを自分の最近の高値・安値と比べるので、ずっと敏感で、両端に届く回数もずっと多くなります。RSIの使いどころは「RSIの見方は?」をご覧ください。

ストキャスティクスRSIの設定は?

よく使われるのは14、14、3、3です。期間を短くすると敏感でうるさくなり、長くすると滑らかになります。自分の銘柄でバックテストして比べるのが一番です。

ストキャスティクスRSIとKDの関係は?

KD(ストキャスティクス)は終値が最近の高低レンジのどこにあるかを見ます。ストキャスティクスRSIは同じ式を使い、終値をRSIに置き換えただけです。KDのトレードオフはKDのゴールデンクロスでエントリーすべき?をご覧ください。

まとめ

ストキャスティクスRSIの敏感さは本物です。同じレンジで、RSIがほとんど動かない間に、両端に9回届いていました。うるささも本物です。上昇の途中で、買われすぎから戻った回数はRSIの3倍でした。どちらも同じ設計、つまりRSIを自分の最近の姿と比べることから来ています。

ですから本当に問うべきは、あなたの銘柄では、この敏感さがもたらす短期のチャンスで、増えたダマシの分をまかなえるか?です。この問いには、ひとつの過去の値動きでは答えられません。当社のAIストラテジーアシスタントでバックテストすればわかります。

条件を1つの文にまとめて、たとえば「価格が50日線の上にあり、ストキャスティクスRSIが20以下から反発したらエントリー」として、MASQuant のAIストラテジーアシスタントに渡し、ボタンを押せばバックテストが始まります。バックテスト環境にはスプレッド、スリッページ、市場流動性の変化、執行遅延といった実際の市場の摩擦が含まれています(使い方はAIストラテジーアシスタントの使い方をご覧ください)。バックテストが教えてくれるのは「このルールが過去の相場でどうだったか」であり、将来の保証ではありません。

アイデアは、検証されて初めて戦略になる。

本文のチャートはMT5プラットフォームの過去の価格データ(日足。プラットフォームによって価格や日足の区切り方が少し異なるため、数値が完全に一致しない場合があります)から取り、指標はプログラムで標準的な計算方法に従って算出しています。例に使った整数は相場データではありません。過去の値動きは指標の性格を説明するためだけに使っており、将来の値動きを示すものではありません。

リスク開示:CFDはハイリスクの金融商品であり、急速に資金を失う可能性があります。過去の実績は将来の結果を保証するものではなく、すべての戦略とバックテストは参考情報であり、投資助言ではありません。取引前に当社のリスク開示条項を十分にご確認ください。

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